【保存版】うちの場合は誰が相続人?相続の「範囲」と「優先順位」を専門家がわかりやすく解説

 

 こんにちは。我孫子市の相続専門女性行政書士の小松悠莉です。
 行政書士と同時に、法律事務所でパラリーガル(弁護士のサポート業務)をしており、日々多くの相続手続きやトラブルの現場に立ち会っています。
 そしてプライベートでは、4月に出産し、絶賛育児に奮闘中の親でもあります。

 「家族が亡くなったけれど、一体誰が財産を引き継ぐ権利(相続権)を持っているんだろう?」

 身近な人が亡くなったとき、最初に直面するのが「相続人の範囲」という問題です。

 一見シンプルに見えても、「前妻との間に子どもがいる」「子どもが先に亡くなっている」といった事情があると、一気に複雑になります。

 この記事では、法律(民法)で定められた相続人の範囲と優先順位について、わかりやすく解説します。

 配偶者は「常に相続人」になる

 まず、絶対に変わらない大原則があります。

 亡くなった人の配偶者(夫または妻)は、常に相続人になります。

 ただし、これには1つだけ厳密なルールがあります。

 それは、「戸籍上の夫婦であること」です。

  • 内縁の妻・夫(事実婚): どれだけ長く一緒に暮らしていても、戸籍を入れていなければ法律上の相続人にはなれません。
  • 離婚した元妻・元夫: すでに離婚している場合、相続権はありません。

配偶者以外の相続人には「優先順位」がある

 配偶者以外の親族(子ども、親、兄弟姉妹など)には、法律で定められた優先順位があり、最も順位が高い人たちだけが相続人になります。

【第1順位】亡くなった人の「子」(直系卑属)

 配偶者と一緒に、最優先で相続人になります。

  • 養子や前妻・前夫との間の子: 実子と同じように「第1順位の相続人」になります。
  • 子がすでに亡くなっている場合: その子ども(亡くなった人から見た)が代わりに相続人になります。これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」と呼びます。 

【第2順位】亡くなった人の「親」(直系尊属)

 子どもや孫(第1順位)が一人もいない場合に初めて、相続人になります。

  • 両親がすでに亡くなっている場合は、祖父母が相続人になります。

【第3順位】亡くなった人の「兄弟姉妹」

 子ども(第1順位)も親(第2順位)もいない場合に初めて、相続人になります。

  • 兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、その子ども(亡くなった人から見た甥・姪)が代わりに相続人になります。

相続人の組み合わせパターン(遺産はどう分ける?)

 相続人の組み合わせによって、法律で決められた分け方の目安(法定相続分)が変わります。代表的な4つのパターンをまとめました。

相続人の組み合わせ配偶者の取り分その他の相続人の取り分
パターン①:配偶者 と 子1/21/2(子ども全員で等分)
パターン②:配偶者 と 親2/31/3(親全員で等分)
パターン③:配偶者 と 兄弟姉妹3/41/4(兄弟姉妹全員で等分)
パターン④:子どもだけなし1/1(全員で等分)

⚠️ 「うちの家族は大丈夫」が一番危ない?実務のリアルな事件簿

 ここまで法律上の基本的なルールを解説してきましたが、実際の相続手続き(実務)では、教科書通りにいかないケースが多々あります。

 本業の法律事務所で、私自身がパラリーガルとして間近で見てきた「実際にあった恐ろしい実例」を2つご紹介します。

 実例①:「うちは仲良し3人きょうだい」の想定外。誰も存在を知らなかった“異母兄弟”の出現

  • ご相談内容: お父様が亡くなり、ご長男から「相続人は母と、僕たち兄弟3人です」と手続きの依頼を受けました。
           非常に仲が良く、手続きもスムーズに進むはずでした。
  • 手続きを進めた結果: 職権でお父様の生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて集めて遡ったところ、「お父様が若い頃、一度離婚しており、その前妻との間に子どもが1人いる」ことが発覚。
  • どうなったか: 相談者である3人兄弟は、その存在すら全く知らされていませんでした。
    しかし法律上、その「見知らぬ兄弟」も立派な相続人です。
    結局、何十年も連絡のなかったその方を探し出して手紙を送り、遺産を分ける話し合い(遺産分割協議)に加わっても らうしかありませんでした。一歩間違えれば、調停や裁判になっていたケースです。

実例②:「子どもがいないから全部妻へ」の勘違い。義理の兄弟との遺産分割協議

  • ご相談内容: 子どもがいないご夫婦で、旦那様が突然お亡くなりに。
    「うちには子どもがいないから、自宅も預金もすべて長年連れ添った妻(私)のものですよね?」と奥様がご相談に来られました。
  • 手続きを進めた結果: 第1順位の「子ども」がおらず、第2順位の「ご両親」もすでに他界されていたため、第3順位である「旦那様の兄弟(3名)」が相続人になりました。そのうち1人はすでに亡くなっていたため、その子(甥)にまで相続権が移っていました。
  • どうなったか: 奥様は、旦那様の兄弟や、普段まったく交流のない甥っ子たち全員に「実印」をもらわなければ、旦那様名義の自宅を守れなくなってしまいました。
    「遺言書が1枚あれば、兄弟に頭を下げずに済んだのに…」と、奥様が後悔されていた姿は、今でも忘れられません。

専門家に頼ることで、トラブルを未然に防ぎ、時間も節約できます

 このように、「誰が相続人になるか」を戸籍から正確に読み解くのは、一般の方には非常にハードルが高い作業です。
特に、原戸籍と呼ばれる手書きの古い戸籍などは、専門の訓練を受けた人でなければ解読が困難です。

 現在、私は育休中ですが、行政書士の職権を使って、全国から郵送で戸籍をすべて集め、被相続人の「本当の相続人」を漏れなく調査して『家系図(相続関係説明図)』を作成する業務をオンライン・郵送完結で承っています。

 本業の法律事務所で「揉めてから弁護士に駆け込み、何年も裁判を続けるご家族」をたくさん見てきたからこそ、「事前に正確な相続人を知り、対策(遺言書など)をしておくこと」がどれだけ価値あることかを痛感しています。

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